退院したばかりの、赤ちゃんの事情

最近、退院したばかりの赤ちゃんがオッパイを吸えない、飲まないと、悩むお母さんが後をたたない。

以前はオッパイが張って痛いなど乳腺炎が多かったが、今は吸えないと悩んでくるお母さんが増えている

その原因を考えた。

赤ちゃんの様子を見ていると、

明らかに、オッパイを吸えてない状態だ。

乳輪まで舌で巻きつけず、乳首の先だけ含んで、

チクチク、ツクツク、浅く唇を合わせているだけ

湧いてくる母乳を、ゴクンゴクン飲んでいない。

お母さんの乳首は大小あるが吸えない乳首ではないことが多い。

当院では、スプーンで搾った母乳を飲ませて、赤ちゃんの舌を出して、乳首を巻きつけるように訓練する。

根気よく、たびたび来院して訓練すると、大抵が飲めるようになる。

しかしお母さんのやる気とメンタルが強くなければなかなかできない。

赤ちゃんは、お母さんが頑張ると、なぜか泣きながらでも吸おうと頑張ってくれる。

話を聴くと、あなたの乳首は小さいから吸えない

赤ちゃんの体重が小さいから、吸えないあきらめて!とミルクを、哺乳瓶でしっかりたすように言われたという。

またミルクで体重が増えると飲むようになるから

とりあえず母乳よりミルクをしっかり足しなさいと言われた。

体重が増えたところですっかり哺乳瓶に慣れてしまいお母さんの乳首には見向きもしない。

哺乳瓶を先に覚えたら、母乳が飲めなくなる

明らかに哺乳瓶慣れでお母さんの乳首を吸わなくなる。

吸わなくなるとまず勧められるのは、

乳頭保護器、次に哺乳瓶の乳首をまだ乳腺が開いてないのに乳首に当てて飲ますように勧められたというケースが多い。

そのあとミルクをしっかり足して授乳終了。

これをずっと繰り返して退院。

帰って母乳を頑張ろうとしても、赤ちゃんが、母乳を飲むことを知らないので、体重は増えないしいつまでたっても乳腺が開いてない、

そのうちオッパイが硬いまま断乳状態になる。

あるいは、乳腺炎になり数日、発熱、痛みで苦しみ、産後早期に乳房を切開して母乳を諦めるケースもある。

当院に来られるお母さん方は、メンタルも悪く、ノイローゼ状態で、助産院を訪れてきます。

なぜこんな事が増えてきたのか

戦前までは、当然のように母乳で育てていたが

戦後からミルクで育てる事が推奨されてきた。

病気で母乳が出ない、お母さんがいない赤ちゃん

など母乳が飲めない子供達には朗報だが、

何がどうなったか、母乳を飲ませられるお母さんがどんどんミルクを簡単に飲ませるようになった

産院にもミルク会社が入り、無料で産院でミルクを使うようになり、お土産にミルクを持って帰っていた。今でもそれは続いている。

私達の師匠である桶谷そとみ助産師は、

母乳育児の大切さを訴え続け、私達助産師に痛くない良く出る乳房マッサージを伝授し、お母さんと赤ちゃんのために、世に沢山送り出してくれた

私も開業当初から、ミルク哺育と戦ってきた。

何故か今は、小児科領域からもミルク哺育を勧められる。

健診に行くたびに、体重を量り少しでも基準を下回れば、ミルクをしっかり足して、また体重を量りに来るよう言われる。

産後のお母さんがたびたび、病院に行く事で、

疲れ果て、

この健診を逃れるために、仕方なくミルクを足して、そのあと母乳を頑張るというお母さんも増えてきた。

健診ってなんだろう。

赤ちゃんの体重ばかりみているのか、

ミルクが合わない赤ちゃんは、いくら飲ましても体重が増えないことも多々ある。

そんな赤ちゃんは、顔色も悪くぐったりしているケースもあった。

母乳を増やすと、体重は小粒だが生き生きしてくる。

赤ちゃんとお母さんが母乳育児を希望しているのに、健診のためにミルクを足したくないのに飲ませるなんてどんな世の中になったんだろう。

母乳はお金がかからない。

ミルクはお金がかかる。

ここら辺に問題があるんだろう。

どうか、母乳を飲ませて、元気な赤ちゃんを育ててください。

お母さんと赤ちゃんの絆を深め、優しい子供を世の中に沢山出してください。

哺乳瓶に慣れて、お母さんの乳首を飲めない時は早く助産院を訪ねてください。

キズは浅いうちに!